縛られた遺骨

墓じまいをしていますと、いろんな骨壺とご対面することになりますが、

今ではあまりやらない習慣として、骨壺を銅の針金で縛っていることがあります。

かなり昔の骨壺の場合にあることで、

普通の針金ではなくて、必ず銅の針金で結んであるのです。

骨壺に密着してきつく縛ってありますし、

持ち手みたいなものがありませんので、

持ち歩くために持ちやすいように、という目的でなく、

ただ頑丈に蓋を閉めるという目的のようです。

お墓の中の環境

お墓の中は日中でも真っ暗です、そしてとても湿度が高いです。

中には草や木の根っこが垂れ下がっていて、

ナメクジやムカデ、ゲジゲジ虫などが住んでいます。

死後の楽園として買い求めたお墓も、中の環境はとても残酷なのです。

縛ってある目的

お墓の中は湿度が高いので、普通の針金では錆びてしまいます。

いつまでも長持ちするために銅の針金が使ってあるのだと思いますが、

一体、骨壺を縛る目的は何でしょうか。

一度納骨すると、お墓の中では骨壺を動かすことがありませんので、

入れた場所から動いたりすることは無いはずなのですが、

長い年月の間には、地震で倒れたりするのでしょうか、

古いお墓では、納骨室の中の骨壺が倒れたり、

割れたりしていることがたまにあるのです。針金で縛る目的は、

万一倒れることがあっても中の遺骨がこぼれないようにという配慮なのでしょう。

もう一つの目的

骨壺を縛るもう一つのも目的は「封印」ということではないでしょうか。

我が国では縄文時代の埋葬として、石を抱かせることをしていましたが、

亡くなった人が、死後に霊として出てきて悪さをするのを防ぐためだそうです。

要するに出てきて悪いことをしないように、石を載せるということなのです。

お墓の石も、元々はそういう意味があり、

一度死後の世界に行ったものがこの世に戻ってこないようにという意味で

封印しているのです。

骨壺の銅の針金もこのような意味があるのではないかと思います。

死後に縛られるのは…

大体、火葬が済んで骨壺に入れてお墓に納骨すれば、

もう自然に還ることは決してありませんし、

ご丁寧にも針金で縛られれば、例え地震で倒れても、

倒れたままで、誰も起こしてはくれません。

せめてお墓に入るのであれば、遺骨が土と接してさえいれば、

少しずつでも土に還ることが出来ることでしょう。

単純な話ですが、縛られた骨壺を見ると、とても気の毒に思います。

縛るという行為自体、罪人を捕えた時に縛り付けるもので、

私も子供の頃に悪さをして、父親から柱に縛られたことを思い出します。