墓じまいと親族間のトラブル

お墓が無い

墓じまいお墓を撤去処分して、遺骨永代供養などにすることですが、墓じまいを済ませた後になって親族などからクレームが来るような事例が後を絶ちません。

墓じまいの前に大切なこと

説明イラスト

墓じまいをする時に、もし親族がいるのであれば、全ての親族に墓じまいをする旨、伝えておく必要があります。

墓じまいの実施を伝えていないと、後になってから、親族の方がお墓参りに行ったけれど、お墓が無かったということが実際に起こっているのです。

また、故人の友人や知人、会社関係の方にも伝えておく必要があります。

理想としては、墓じまいを検討している段階で、相談という形で話を持っていった方が良いと思いますが、実際にはお墓を無くすということに反対される方が必ずと言っていいほどいるものなのです。

反対されたにしろ、こちら側のやむを得ない事情を説明すれば大抵は分かってくれるものですが、どうしても反対される場合には、反対される方の理由も聞いておく必要があります。

墓じまいの代わりの方法を提示することなく、ただ感情的に反対するだけでは筋が通りませんが、墓じまいの代わりの方法で実現可能であけば、最大限考慮してください。

ある意味、その提案される方も協力する必要があり、協力無き提案は、無責任なことだと思います。

最終的には後継者が決める

後継者のイラスト

基本的にはお墓をどのようにするかは、お墓の後継者が決めることで、他の者には一切の権利がありませんが、お墓参りというものは、誰が参っても自由なので、例えば親族の縁の薄いような方であっても、本家のお墓参りのついでに参っているようなことがあるのです。

もし、花束やお線香を持ってお参りしようとする時に、そのお墓が無かったとしたら、一体どうしたんだということになりますよね。

親族の中では、お金は出さないけれど、口は出す、という人が意外と多いもので、お墓を処分したと分かったとたんに、勝手なことをするなと言われるのです。

少なくとも墓じまいをしますという旨、事前に伝えておけばこのようなことは無いのですが、後継者の立場からすると、他に誰も参っていないから連絡する必要は無いと思うものです。

意外と多いトラブル

また、もう一つの理由としては、あの人はうるさいから、反対されるであろうという理由で、意図的に伝えなかった場合です。

これが、後でトラブルになる原因として最も多いもので、親族間の感情というものは、この人とは話したくない、というのが実際にあるのです。

先祖の墓を勝手に片付けられた、ということで対立してまう訳ですが、大抵は何故言ってくれなかったのだという感情論になるのです。

たとえ嫌な人であれ、最初に伝えておくことは大切なことで、この人と話をしても分かってくれないだろうという先入観は持たずに、根気良く説得していくという姿勢が大切なのです。

たとえ分かってくれなくとも、話だけはしておくことです。

そして、お墓参りに来る人は、親族だけではありません、友人とか、会社関係の人であったりする訳で、墓じまいをする前に、予め可能な限り、連絡しておくことが必要です。

実際にあったトラブル

親族間トラブルのイラスト

Aさんは若い時に地方から上京して会社勤めをし、永住の決意をして家を買い、定年を迎える前にはお墓も購入しました。

故郷のお墓は親族の中でも、とても良くしてくれる方に管理をお願いし、その方にはお中元やお歳暮は必ず送り、お礼も欠かしませんでした。

そしてお盆やお彼岸になると故郷に墓参りに帰っていました。

たまに親族の法事などで呼ばれると、親族からはお墓のことばかり口うるさく言われ、長男だからちゃんとお墓の面倒を見るべきだと言われ続けました。

親族の法事の席に呼ばれた時に、親族には新たにお墓購入した事と、故郷のお墓を墓じまいしてご先祖の遺骨を新しいお墓に移すことを伝えると、故郷のお墓を壊すなんてバチ当たりだと言われ、大ゲンカになってしまいました。


法事の席ではお酒が入ることもあり、また、日頃の付き合いがあまり無い方は非難される標的になりやすいものです。

このような場合には、世話になっている寺院の永代供養を頼むなどの地元優先策に切り替えるか、大勢の前で言うのではなく、一人一人説得していくか、或いは反対されるのを押し切って実行するかの方法しかないと思います。

反対されるのを押し切って実行するのは、あくまでも最終手段です、片付けて逃げる、という方法はあまりおすすめ出来ませんが、そのままにしておくと、最終的には皆さんに迷惑をかける訳ですし、ご先祖様を無縁仏にしてしまうよりは良いかもしれません。

墓じまいの権利はお墓の使用者にありますので、本来は反対されるような理由は無いはずなのですが…

ある意味、こういう親族付き合いが嫌で都会に出る人が多いのです。