2012年4月26日、羽毛田信吾宮内庁長官は定例会見で、宮内庁は天皇皇后両陛下のご意向を受け、両陛下がご逝去の際、皇室の伝統である大がかりな“土葬”ではなく、一般的な“火葬”を検討していることを発表しました。さらに両陛下は、お墓にあたる陵(みささぎ)の小規模化も望まれているということです。注目すべきは天皇が生前中に自らの葬儀について発言されることであり、このような発言は極めて異例のことなのです。天皇の葬儀にかかる費用は100億円とも言われています。昭和天皇の葬儀に当たる“大喪の礼”には国家元首をはじめとして、使節、大使など世界164か国の人々が参列し、警備にも約25億円が割かれ、棺を“葱華輦(そうかれん)”という巨大な輿(こし)で運び、東京・八王子市に約30億円をかけて造られた武蔵野陵に埋葬されました。天皇陵は土葬が基本なのです。東日本大震災を視察されて共に憂い、未だに経済の低迷の中で、国民のことを思えばこそ、自らの葬儀の簡略化を願い、火葬を望まれるのではないでしょうか。歴史と伝統を重んじる皇室で、天皇がこのような発言をされたことに対し、私達も葬送のあり方を真剣に考える必要があると思います。